基本のベトナム戦争米陸軍装備を揃えるには Part2 M-1956装備編

2024/02/06

ベトナム戦争 米軍装備

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さて、揃えるという点では一番楽しいかもしれないM1956装備の紹介です。

M-1956LCE

朝鮮戦争頃までの装備はライフル銃用のM-1923カートリッジベルト、B.A.R.用のM-1937カートリッジベルト、サブマシンガンやカービン銃のポーチが取り付けられるM-1936ピストルベルトなど、使用する火器によって装備が別になっていました。M-1956装備では汎用的なポーチをベルトに取り付ける方式をとり、どのような火器でも基本同じ装備で運用することを可能にしました。

また、ベルトへの取り付け方法も一変しました。これまではアイレットにワイヤーハンガーを通し、吊り下げる方式や、ベルトとポーチにドットホックを設けそれをかみ合わせて固定をする方式がありましたが、M-1956装備では新開発されたスライドキーパーを利用してアイレットやドットホックがない部分にも自由に装備の取り付けができるようになりました。このスライドキーパーはALICEクリップと呼ばれることが一般的になっています。

黒い金具がスライドキーパー いわゆるアリスクリップ


ピストルベルト


M-1956ピストルベルト 縦織りなので後期型
基本中の基本の装備です。これをベースにポーチを付け足し弾薬の携行を可能とします。M-1956ピストルベルトにはドットホックが付いていませんので、旧来のドットホックを利用し固定する装備は運用できません。ハトメは変わらず等間隔に打たれているのでM-1910ワイヤーハンガーを利用した装備は使用可能です。

ベルトの部分が縦に織られているものと横に織られているものがあり、横向きに織られているものは初期型とよばれます。

MサイズとL型サイズがあり、Mサイズは30インチ(76.2センチメートル)まで、Lサイズは30インチ以上に対応しています。

同じODのピストルベルトとしてM-1936ピストルベルトが存在します。こちらはバックル横にドットホックがあり、サイズ調整も片側しか出来ない仕様になっているので見分けが付きます。購入のときに間違えないように注意しましょう。

価格としては縦織りの後期型は2500~4000円位、横織りはそれに+1500円位かと

H型サスペンダー

H型サスペンダーは金具を利用してサイズ調節も可能
これまでストレート型、X型と変貌を遂げてきたサスペンダーはM-1956装備でH型になりました。 H型サスペンダーは幅の広いパットが元々付いており重さを適度に分散してくれます。 金具の形状で前期型と後期型が分けられています。

一応規定ではピストルベルトのバックルに一番近いアイレットに金具を通すことになっています。

Rサイズ、Lサイズ、XLサイズの三種類があります。Rサイズが一番入手しやすいですが、殆どの人には短いと思いますのでできればLサイズの入手がいいかなと思いますね。

価格としてはRサイズが1500~2000円位、Lサイズが2500~3500円位です。

スモールアームズアムニッションケース

スモールアームズアムニッションケースの後期型
汎用の小火器用弾薬ポーチです。当時の様々な小火器の弾薬を収納出来る作りになっています。
  • M1ガーランドのクリップが6個
  • BARの20連マガジンが2本
  • M1カービンの30連マガジンが4本
  • 40mmグレネード弾が3本
  • M14ライフルの20連マガジンが2本
  • M16の20連マガジンが3本
上記に加えてポーチの横にはグレネードを2つ括りつけられます。

これも途中で形状が変化しています。前期型では蓋の留め具テープ部分にアイレットが打たれていました。後に変更されたモデルではアイレットの廃止、プラスティックの補強部品の埋め込みがされています。こちらは後期型とよばれることもあります。前期型と後期型の見分けについては留め具テープのアイレットを見るのが一番手っ取り早いかと思います。
M16のショートマガジン用の形状のものも登場しています。これはM16に特化した作りになっていて、ポーチ自体が小さくなっています。これはM16の20連マガジンを4本収納可能でした。このポーチは以来のスモールアームズアムニッションケースを置き換えることはなく同時並行して使用されていました。

後ろ側に付いているストラップはサスペンダーのリングに取り付け、ポーチが自重で下を向くのを防ぐものです。 また、この装備は前面に2つ装着しますので2つ必要です。

価格としては1つ2000~3000円位でしょう。M16専用タイプだともう少し値段が張るかもしれません。

キャンティーンカバー&キャンティーン+カップ

右がM-1956キャンティーンカバー 左のM-1967キャンティーンカバーもベトナム戦争中使用されたが実例は少ない
いわゆる水筒セットです。教範では1つですが実際は2つ身に着けていることが多いです。キャンティーンカバーの中にキャンティーンカップとキャンティーンを入れ携行します。主に後ろの腰の左右に一個ずつ取り付けます。

いままでキャンティーンはアルミやステンレスなどの金属製のものが使用されていましたが、M-1956装備採用から少ししてプラスティック製のキャンティーンが登場します。このキャンティーンは金属製と同じ形状をしており、現在まで使用されています。

そのプラスティックキャンティーンは現用のものも形状が一緒なので代用可能です。ただし60年代のものと比べると色に違いがあります。現用と比べると60年代のものは茶色っぽいODで、見比べると全然色が違います。

キャンティーンカップは持ち手の部分に注目しましょう。この部分がワイヤーではなくバーのものが望ましいです。
キャンティーンとカップ カップは写真のようなバータイプを ちなみにこの写真のキャンティーンは2002年製のもの
キャンティーンカバーは1967年頃からバイアステープ(縁取りテープ)がコットンからナイロンになりました。時期にこだわるならそこは注意が必要かもしれません。

価格としてはカバーが3000~4000円、カップが1000~2500円、水筒本体が現用のもので1000~1500円、60年代のもので2000~3000円位です。セットだと大体4500~6000円位で手に入るかと。

フィールドパック

M-1956フィールドパックの前期型 全体的に角ばった形状なのが特徴
この中では値段が高めの部類です。汎用バッグと呼べるようなもので、中にいろいろなものを収納するためのものです。腰に装着する以外にもストラップを使いサスペンダーに括り付け背負うことも可能になっています。

パックの周囲にはストラップがついており、丸めたポンチョなどを括り付けられます。また、左右のウェビングにはスライドキーパー装備を装着できるので、ウエストが細くキャンティーンが付けにくい状態でもこちらに装着できます。蓋にはアイレットが打たれておりこの部分への銃剣取り付けも可能です。

アイレットに装備をつけることも出来る
1961年に形状が変更され、丸みを帯びたものになりました。この形状改良によって容量を増やしています。また、ゴム引きの内貼りをすることで防水性の向上も図られました。丸みを帯びた改良型はM-1956フィールドパック後期型やM-1961フィールドパックともよばれます。一方それ以前のものは角ばった形状をしており、M-1956フィールドパックあるいはそれの前期型とよばれています。

フィールドパックの上面にはアイレットがありサスペンダーのフックを通すことが可能です。これにより腰で遊ぶことが少なくなると同時に重さを肩で支えられます。ただしフィールドパックをつけるときと外すときで長さの調整をし直さなくてはいけないのでその分手間はかかります。

価格としてはM-1956タイプが3000~7000円、M1961タイプが2000~6000円位でしょうか。この装備品は状態によってかなり価格の差があります。

なおM-1961タイプは入手しやすいリプロ品も存在しているのでそちらの入手も選択肢の一つではないでしょうか。

左はファントム製のリプロで右が実物 ファーストエイドキットを入れるポーチとコンパスを入れるポーチは分かれていましたが、M-1956装備からは統一されました。一兵卒がコンパスを使うことは少ないので兵卒は主にファーストエイドキットを入れていたのでしょう。
このポーチはスモールアームズアムニッションケースの横かピストルベルトの前面、もしくはサスペンダーのストラップ取り付け用のウェビングに取り付けることが多いです。 

これも初期のものは作りが違うのですが説明は省きます。
価格としてはポーチ本体のみで800~1500円ほどです。

エントレンチングツール&カバー

エントレンチングツールとそれを収納するカバー Eツールは1943年製のM-1943モデル
嵩張って仕方ないうえに当時でも付けていることはあまりないですが、M-1956装備の一つなので紹介します。主に塹壕掘りなどの陣地構築に使用するエントレンチングツールです。いわゆる折り畳みスコップで、Eツールと略されることもあります。

カバーにはピストルベルトの使用面積を減らすためにアイレット部品が設けられ銃剣の取り付けが出来るようになっています。また、痛み防止のため各所に革で補強が行われています。

銃剣を取り付けフル装備となった状態
付けて動くと重い上膝立ちのときに地面に突き刺さってウザったいです。実際腰に付けて携行していることは少なく、大抵ラックサックのフレームやラックサック自体に括りつけている写真が多い印象であります。

ちなみに私のエントレンチングツールはM-1951ではなくM-1943エントレンチングツールです。M-1951になるとスコップのブレードの他にピックが追加され、細長い穴なども掘れるようになりました。ナム戦で使うのならM-1951が無難かと。

価格はセットで4000~5000円位です。大きさの割に需要が少ないようで割りと安いですね。正直最初はなくても十分です。のめり込んだら欲しくなるかもしれませんし。

終わりに

Part1とPart2の内容のものを揃えれば基本の装備は揃います。Part3ではその他簡単な小物類の紹介をしたいと思っています。

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